令和時代のM&Aアドバイザーの実務
こちらのページではこれからM&Aを始めたいと思っている皆さんに向けて、LifeHackがこれまで培ってきた地方の中小企業に向けたM&A(スモールM&A)に関するノウハウを紹介しております。
近年拡大しているスモールM&Aでは、いままでM&Aに触れたことがない方や、やむを得ない理由からM&Aを活用してみたいといった方と関わることが多いと思います。
どんなオーナーさんにも伝わるようM&Aを進めるためには何に気をつけるべきかといったことや交渉の中で躓きやすいポイントなど
大企業間のM&Aには無いスモールM&Aならではの特徴や、特に求められる着眼点、考え方などを扱っております。
当ページはこれからアドバイザーとして成長していく上で重要な話題をまとめておりますので、
このようなお悩みを抱えている方はぜひご覧くださいませ。- M&Aに関わることになったがどんなことをするのかわからない
- これからM&Aアドバイザーとして活躍したい
- アドバイザーとして実務を行う上で何が求められているのか、どんな対応をすると良いのか知りたい
目次

スモールM&Aの特徴
スモールM&Aのアドバイザーとしてより多くの案件を獲得するには、その地域や中小企業ならではの慣習への理解や、それに寄り添った考え方を身につけることがとても大切です。
M&Aにつながる事業や経営の状況、企業のオーナーの動向に目を光らせて柔軟な営業ができるような体制を整えましょう。
より生産性を上げるために
M&Aのアドバイザーとして案件に関わる中で、事業全体の生産性を上げるためにはとあるポイントを意識することが大切だと感じました。
マクロな視点でM&Aを考えることで新たな発見もあるのではないでしょうか。
時代とともに変わる顧客のニーズとアドバイザーに求められるスキル
現在広がりを見せるスモールM&Aですが、
M&Aに興味を持つ人が増えるとともに売り手、買い手オーナーに寄り添ったサポートができるアドバイザーの価値が上がってきています。
SNSが普及したことによりこれまでよりも簡単に連絡を取り合えて、雑談やさまざまな相談事が気軽にできるようになりました。
M&Aをするオーナーも同じように、オーナー同士でふとしたときに連絡先を交換したい、SNSでの繋がりを広げたいという場面も増えていることでしょう。
このような時代に即したニーズに答え、買い手売り手オーナーが快適に、満足できるM&Aを実施できる環境構築も必要になって行きそうです。
買い手候補が売主によく聞く質問3選
オーナー面談などで買い手候補が聞きたいことは、実際に事業を継承したときに問題なく進めていけるのか、引き継いだ後に事業を今まで通り続けるにはどれほどの予算が必要なのか見極めるための情報が多いです。
それを踏まえると、買い手候補からよくあがる質問は以下のようなものになります。
- オーナーの普段の業務って何?
- オーナーは同業者団体の集まりに参加してるか?
- オーナーは同業者団体の集まりに参加してるか?
これらを事前にヒアリングすることで、戸惑うことなくオーナー面談に望むことができるのではないでしょうか?
飲食店のM&A案件は意外な相手から獲得できる
M&Aを実現するために必要な案件化。
事業をやめたい、後継者がいないといった悩みを抱えている企業に巡り合うために最も確度の高い案件獲得の方法は人からの紹介だと思います。
そんな紹介の機会を増やすためにもその事業を行うにあたって必ず関わる業界と親密になっておくことが大切です。LifeHackでもそんな方々からのご紹介で新たな案件獲得の機会を増やしております。
案件を獲得したい事業に関わる意外な相手を意識することで、これまでよりも多くの案件に出会えることでしょう。
売り手と買い手の悩みとは?アドバイザーのフォローで解消できることも
M&Aの交渉はなかなか経験する機会が少なく、それ故に売り手と買い手の経験の差で気持ちのギャップが大きくなりやすいです。
そんな中でも、慎重に取引を進めたい、じっくりと案件を精査したいという買い手の気持ちや不安についてはアドバイザーがフォローすることで解消できることが多いです。
スムーズにM&Aを実施するためにはアドバイザーが事前に準備や計画を練り対応に当たる、フォローすることが必要不可欠ということですね。
M&Aで非常に重要で大切な秘密情報を守るために
M&Aを進める上でとても重要な秘密情報の保持。
これは交渉をスムーズに進められるかどうかということの他に、情報漏洩をしてしまったがゆえに交渉が破談になる、さらには損失が発生してしまうということが起こりうるため非常に重要なことです。
秘密情報を守るためには普段の会話からその人が秘密保持についてどんなスタンスで考えているのか、他者に口外しないかを見極める必要があります。
特にアドバイザーはこんな人は秘密を守れないな、情報を漏らしてしまうなということを考え、日常的な人との会話からその人が秘密情報の大切さを理解しているのかどうかを判断できるようアンテナを張り確実に秘密を守らなければなりません。
不要な交渉で起こる売り案件の情報漏洩を防ぐ方法3選
事業を売却する際にはまず、その事業に興味を持ちそうな買い手候補の方へのマッチングをします。
その段階でよく出会ってしまう、興味本位で事業の情報を集めている方をへの情報公開を避けるためには、以下のような事項に注意して対応をすることがおすすめです。
- 買収資金の原資を確認する
- 買収に向けたスケジュールを確認する
- 交渉を進めない条件を事前に確認する
どんな買い手候補だと交渉締結に結びつかないのかといったことは、アドバイザーのこれまでの経験や売却する事業の業種によって予想・検討することができると思います。
今回ご紹介したことに注意することで取引の期間を無駄に伸ばさないといったことや、情報漏洩のリスクを抑えることに繋がります。取引を本気で検討してくださる方との交渉に集中していきましょう。
交渉に必要な資料がうまく回収できないときの対処法
アドバイザーがオーナーとのやり取りで気をつけなければならないのが、財務・法務などに関する机上のやり取りです。
トップ面談などの具体的な交渉の前段においては机上のやり取りで交渉が進むことが多いのですが、その際のやり取りで必要になる資料のやり取りが非常に困難なのです。
アドバイザー「月毎の推移が分かる推移表を3期分下さい。出来れば店舗別の推移が分かると望ましいので、店舗別でお願いできますか?」
月毎の推移?推移表?店舗別?...
こんな反応が多いです。
業界のこと、事業運営に関することであればその道の専門家ですのでスムーズなやりとりが可能ですが、財務・法務に関する資料を正しく準備できる方は少ないです。そんなときにはどのようにすればカバーができるでしょうか?
できることならその企業に関わっている専門家の方と直接やり取りさせてもらい資料をスムーズに探す、準備することが一番楽で確実な方法です。
もちろんオーナーによっては自分の知らないところで勝手にやり取りが進むのは嫌だ、という方もいらっしゃると思います。そのような事態に対処するためにはオーナーとの関係をうまく築くことも大切になります。
M&Aアドバイザリー業界で他社と差別化するための方法
M&Aアドバイザリー業界が広がる中で同業他社との差別化を図るためにはどうしたら良いでしょうか?
その答えは、
「現場を知っているその道のプロ×M&Aの専門家」
のタッグで案件を進めていくことにあるのではないかと思っております。
M&Aアドバイザーは沢山いますが、それぞれ「M&A」のプロであって、対象事業のプロではない事がほとんどです。故にM&Aのプロが実施すべきは、その事業の現場のプロとタッグを組んで現場の専門的なフォローや精査はその方に任せ、手続き関係や交渉ごとの旗振り、契約関係書類の整理などはM&Aアドバイザーがこなす、この方法が良いのではないかと思います。
この方法での案件化が進むと、売り手・買い手双方にとってもメリットが大きいです。なぜならば、売り手からすると専門性の高い同業の方にフォローしてもらえる安心感がありますし、買い手からしても収益性のアップが図ることが可能になるからです。
アドバイザーをつけない!そんな売り手とやりとりする際に注意すること
買い手側のアドバイザーとしてM&Aに関わる中で、アドバイザー不在の売り案件に出会うことがあります。
特に問題が発生しやすいのが、過去にM&Aをした経験のあるオーナー様との取引です。
アドバイザーとして仕事をされている方に比べM&Aを行った回数は少なくなるためどうしても何かが足らなかったり、売りに出している事業の情報をまとめきれないということが起こりやすく、事業の魅力を引き出せないことが多いのです。
そのような売り手と出会ってしまった時のよくある対応方法を、アドバイザーをつけない!そんな売り手とやりとりする際に注意することにてご紹介しております。
フランチャイズ事業をM&Aで承継する際に気をつけること
個人経営店を引き継ぐ場合と、飲食店やアパレルなどのフランチャイズ加盟店をM&Aで承継する場合とでは、異なる点に注意が必要です。
フランチャイズ事業を承継する場合の注意点は以下のとおりです。
・フランチャイズ契約の内容が承継可能なものとなっているか
違約金などの支払義務などがないかも確認します。
・フランチャイズ本部の反応がどのようなものであるかも検討材料にする
例えば、本部の反応が変に良かったりすると、それは売上が悪い営業不振のお店かもし れませんし、それ以外にも何らかの問題を抱えたお店である可能性があります。本部の 反応も重要な情報を提供してくれることがありますので、しっかり確認しましょう。
・仕入その他の条件が自分の計画している運用計画の障害にならないか
そのお店がどのように事業を進めていたのか、営業の仕組みやマーケティングなど、幅 広くリサーチをして、自分の事業計画が実現できるかどうかの確認も大切です。
それぞれの注意点についての詳細はコチラの記事で紹介しております¥^
事業売却の相談を受けたアドバイザーが確認すべき資料を一覧で紹介
売り手オーナー様より事業売却のご相談を受けた場合、売り手アドバイザーは、案件化前にどのような資料を確認すれば良いのでしょうか?
それは次の3つの資料です。
- 対象会社の基本情報確認用資料
- 対象会社の財務情報確認用資料
- 対象会社の従業員情報確認用資料
これらの資料は案件化のために絶対に必要になる情報を集めるための物です。売り手アドバイザーとなったときには念頭に入れて確認しましょう。
M&A交渉を優位に進められるのは買い手?売り手?
M&Aの交渉において、売り手と買い手、どちらが優位に交渉を進められるのでしょうか?
一概にはいえないところもありますが、基本的には「買い手優位」といえます。
その理由として、
- 買い手はいつでも交渉を中断できる
- 売り手は切実な状態におかれているケースが多い
という事情があるためです。
このような現状を踏まえて、M&Aアドバイザーはどのように交渉を支援していけばよいでしょうか。
やってはいけないことは、「買い手の決断を急がせること」。
やるべきことは、「買い手を見極め、真摯な買い手に案件を振ること」です。
買い手優位で交渉が進んでいく中にあっても、仲介をするM&Aアドバイザーは、売り手の立場にも配慮し、自分がしっかりと交渉の舵を握ることが大切です。
新たなM&A案件を誰よりも早く手に入れるために
M&A案件には「出回り案件」と「オンリーワン案件」があります。
その中でもM&A案件創出をいち早く行うためには、「オンリーワン案件」を狙っていくのが得策です。
オンリーワン案件を一番乗りでキャッチするために重要なポイントは、オーナーとの接触が多くもてる事業社との関わりを増やしていくことです。
例えば、保険会社(代理店含む)、士業事務所、不動産会社、飲食店、夜のお店、クレジットカード会社担当者、銀行担当者などがお勧めです。
このような事業社のオーナーとの接触ができたら、「M&Aとは?」や「M&Aでこんな悩みが解消できる」といったオーナーにとって有益なM&A情報を惜しみなくお伝えすることです。
そうやってオーナーに感謝されるような関係を構築することが案件創出の秘訣といえるのではないでしょうか。
M&Aのための銀行融資の現状
M&Aを実施する際の資金調達のためには銀行融資も方法の一つです。
今現在、地方銀行でM&Aを目的とした融資を受けたい場合に注意すべきことをご紹介します。
地方銀行では現在M&Aに特化した審査が実施されるわけではなく、通常の融資に準じて審査が行われます。
銀行内部にはにはM&A専門部隊が存在しているのですが、支店担当者には実際に使えるM&Aの専門知識を有している人が少ないのです。
M&A実施を目的として銀行融資を受けたい場合は何とかして銀行内にいらっしゃる「M&A専門部隊」の方々にアクセスするしかありませんが、現実的にはそれもなかなか難しいのが現状です。
事業譲渡で互いに合意しいざ最終契約。見落としやすいある事項とは?
条件交渉もまとまり、いざ最終契約に関する手続きを進めようとしたそんなときにとあることが原因で交渉がストップしてしまうことがあります。
その原因とは、契約締結に伴う不動産オーナーへの追加費用の発生です。
事業譲渡の場合、事業で使っているテナントの賃貸契約は結び直しとなります。
前オーナーと大家さんとの賃貸借契約は解除し、新オーナーと大家さんとの間で新たに賃貸借契約を結び直すのです。
これは新規での賃貸借契約と同じですので、敷金や礼金、場合によっては仲介手数料などが発生します。
ですので、家賃の金額が高額なテナントを使って事業しているケースではその金額がそのまま追加費用として発生し、想定外の初期費用増となってしまいます。
とは言え、最終契約までたどり着くためにかかった時間と労力を考えると交渉を中断し、別の第三者とイチから交渉を進める決断をするのは厳しいものがあります。
この状況に陥ったとき実際に想定されるケースは、
・売り手が折れて売値を下げるケース
・アドバイザーが報酬を下げるケース
が考えられます。
こんなことが起きないように事業譲渡で話を勧めている場合は特に不動産契約に伴う初期費用を加味した予算取り、ご提案をできるように意識して交渉に挑むようにしましょう。
買い手の本気度を確かめるためのヒアリング方法を紹介
「M&Aで会社を買いたい!いい案件を紹介して!」
そんな声をかけていただいた経営者の方に実際に案件を紹介して話を進めていくと、最終的に交渉をストップすることになってしまうことがあります。
資金調達が難しい、そのエリアでは管理が難しい、顧問税理士に反対されて……
そんな理由で交渉から手を引いてしまうのです。本当にこれらの理由で交渉を断念するケースは致し方ないのですが、中には興味本位で最初から契約するつもりのない立候補もゼロではありません。
もっとひどいケースでは、案件概要を公開した途端に音沙汰がなくなってしまう、公開したのに何の反応も示さない、そんな買い手さんもいるのです。
そんな無駄な交渉を避けるためには何をすれば良いのでしょうか?その答えは、買い手への具体的なヒアリングです。
これは口頭で実施するのではなく、ヒアリングシートに、買い手自ら記載してもらうことをお勧めします。
口頭ではなく記載、というところがポイントです。口頭でのヒアリングですと、それっぽい回答で誤魔化されてしまう可能性があり、買い手の真の需要を把握することが出来ないのです。しかし、
「こちらのヒアリングシートに記載してお返事頂けますでしょうか?」
といった形で投げることで、買い手の言葉で需要を掘り起こす事が出来るでしょう。
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